チャンキー、こんにちは。
ぼくにしてはちょっと返信の間隔があきましたね。手紙をもらったあと、チャンキーの個展を見せてもらい、約半年ぶりに会って二時間あまり話したわけなのでまったく間隔があったといわけではありません。返信の遅れはそのせいではなく、ここのところずっと小説を書くことに日々集中しているため、小説以外の文章を書く頭になりにくい状態でいるからなのです。
いまもいつもの調子ではなくて、重力の違う場所でふわふわと歩いているような気分でキーボードを打っています。こんなことでいいのかと思いながら、このやり取りはある程度さらけだした自分の日々の思いをチャンキーに伝えることにも意味があるはずだと、下手に気張ったり、またいいわけしたりもせず、正直に書けることだけを書いていくことにします。これは河合隼雄さんのやっていた心理相談のカウンセリングみたいなものなのかもしれません。とにかく会って話をする。あるいは向き合うことが大切なのです。
ぼくは新しい小説にもうずいぶん前から取りかかっているのですけれど、なかなか自分の思うようなものにならなくて、何度も途中でやめたり、また完成したものがもうひとつだったりして全部捨てたりして、あれこれとやってきています。それでいまその何度目かのトライの日々なんですけど、面白いのはそのスタートの日が偶然にもチャンキーの個展の日のスタートと同じでした。ぼくはその日が個展の開催日だとはあとになるまで知らなかったので、ああ、こんなところでちゃんとぼくらはつながっているなあとうれしかったし、このスタートから始まるいまの小説を大事にしなければとも思いました。まだこの先どうなるかわからないので、なんともいえませんが、これまでにない手応えを感じながら毎日やっています。でもその手応えが急に萎んでどうしようもなくなってしまうときもあるのです。
チャンキーは今度の個展を、自分がこれまでやってきたことのマラソンのゴールだと喩えてましたね。実際その言葉を裏切らない絵でしたよ。淡い感じで描かれたタッチのもの、反対に強い筆遣いで対象の見たままの姿に食い込むように迫っていったタッチのもの。ぼくはどちらも好きです。その真ん中で誇らしげに胸を張っているチャンキー松本の姿がいまのぼくの目に映ります。おめでとう。チャンキー。あなたの絵がそこにありました。
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